先に結論

梅雨に髪が広がりやすくなる大きな理由は、湿度が上がることで毛髪内の水分量が変化し、朝につくった髪の形が保ちにくくなるからです。

梅雨に髪が広がる理由:選ぶときの3つの基準

髪は、一度乾かしたら一日中ずっと同じ水分量を保つ物質ではありません。外気の湿度が高くなると水分を取り込み、乾燥した環境では水分を放出します。毛髪内の水分量は外気の湿度に左右され、湿度が高いほど毛髪内の水分量も多くなるとされています。

さらに、髪の形を一時的に整えるときに関係する「水素結合」は、水分が入ると切れやすくなります。朝にブローやアイロンでストレートに整えても、通勤中の湿気や汗で髪が水分を取り込むと、その形が少しずつ変わります。季節や外出環境による変化も続けて整理するなら、冬に髪が静電気でまとまらない原因と対策もあわせて確認できます。

ただし、梅雨の髪悩みを「水分を吸うから全体が一様にふくらむ」とだけ説明すると不十分です。

特にくせ毛では、髪内部の水分を抱えやすい部分と抱えにくい部分が均一ではないことが分かっています。SPring-8を用いた毛髪研究で、直毛に比べてくせ毛では毛髪内部の水分分布が不均一であり、湿度変化によって吸水しやすい場所と吸水しにくい場所に膨張差が生じ、うねりや広がりにつながるとされています。

ダメージ毛も湿度の影響を受けやすい傾向があります。同じ湿度環境でも健康な髪より傷んだ髪のほうが水分量が多く、水分が出入りしやすいことが知られているとされています。

つまり、梅雨の広がり対策で本当に見るべきなのは、

です。

「とにかく保湿すれば広がらない」「オイルを大量につければ湿気を完全に防げる」「梅雨は髪をカラカラになるまで乾かす」といった単純な方法では、逆に重さ、べたつき、ぺたんこ、毛流れの乱れが出ることがあります。

梅雨の髪は、水分をゼロにするのではなく、湿度が変わっても形が崩れにくい状態へ整えることが重要です。

なぜ湿度が上がると髪の形が変わる?

髪の形には、いくつかの結合が関係しています。

日常のブローや寝ぐせ直しで特に重要なのが水素結合です。

髪は水に濡れると水素結合が切れ、形を変えやすくなります。形を整えた状態で乾かすと再び水素結合ができ、その形が一時的に固定されます。

朝に、

といったスタイリングができるのは、この性質を利用しているからです。

ところが、外へ出て湿度が高くなると、乾いた髪が再び空気中の水分を取り込みます。雨天などで湿度が上がると毛髪内の水分量が増え、水素結合が切れることで形が変わるとされています。

つまり、朝のブローが「消えた」のではありません。

朝につくった形を支えていた結合が、水分の再流入で不安定になり、髪が元の形や別の形へ動きやすくなったのです。

そのため、梅雨は、

  1. 朝はストレート
  2. 駅まで歩いて湿気を吸う
  3. 毛先が外へはねる
  4. 前髪が割れる
  5. 表面に浮き毛が出る

という変化が起こりやすくなります。

くせ毛はなぜ梅雨に広がりやすい?

くせ毛は、単に「乾燥している髪」ではありません。

くせ毛では髪内部の水分分布が均一ではなく、水分を抱えやすい部分と抱えにくい部分が存在することが報告されています。

湿度が上がると、水分を取り込みやすい部分はより膨らみ、取り込みにくい部分は同じようには膨らみません。

一本の毛髪の中で膨らみ方に差ができると、髪が均一に太くなるのではなく、曲がりやねじれとして現れます。

これが、

といった状態につながります。

2017年のくせ毛内部の水分分布の不均一さが、湿度変化で広がりが助長される要因の一つとして示されています。

ここで注意したいのは、「くせ毛は水分不足だから広がる」と一言で説明しないことです。

問題は単純な水分量の不足だけではなく、「どこに、どれだけ水分が存在するか」「湿度が変わったときにどこが吸いやすいか」という分布も関係します。

ダメージ毛が湿気の影響を受けやすい理由

カラー、ブリーチ、熱、摩擦などで傷んだ髪は、湿気による変化を感じやすくなることがあります。

同じ湿度環境下では健康な髪より傷んだ髪のほうが水分量が多く、また水分が出入りしやすいことが知られているとされています。

これは「ダメージ毛には常に水分が足りない」というイメージとは少し違います。

傷んだ髪では、表面や内部の状態が均一でなくなり、水分の出入りも安定しにくくなります。

そのため、梅雨には、

といった部位差が出ることがあります。

ただし、ダメージがある人全員が同じように広がるわけではありません。

毛量、太さ、元々のくせ、カット、レイヤー、スタイリング剤の量でも見え方は変わります。

梅雨でも「広がる人」と「ぺたんこになる人」がいる

湿度が高いと、すべての人の髪が大きく広がるわけではありません。

多毛の人は「広がってまとまらない」悩み、毛量が少ない人は「ハリがなくぺたんこ」になる悩みとして分けて紹介されています。

細く柔らかい髪では、湿気や汗で根元の形が崩れ、立ち上がりがなくなることがあります。

このタイプが、広がり対策だけを見て重いオイルやバームを増やすと、さらにトップがつぶれる場合があります。

一方、太い髪、多毛、くせ毛、ダメージ毛では、湿度変化によるうねりやシルエットの膨張が目立ちやすいことがあります。

つまり、梅雨対策は、「湿気を防ぐ」だけではなく、「自分は広がるタイプか、つぶれるタイプか」を最初に判断する必要があります。

前髪だけ崩れやすいのはなぜ?

梅雨に最初に崩れやすいのが前髪です。

理由は、前髪が外気だけでなく、額の汗や皮脂にも近いからです。

頭皮に汗をかくと髪の根元の水素結合が切れて、根元からヘアスタイルが崩れるとされています。

前髪は、

の影響を受けやすいため、全体より早く形が変わることがあります。

特に、前髪の根元が少しでも乾き切っていない状態で外出すると、湿度だけでなく乾き残しも崩れの原因になります。

朝は、毛先の形より先に根元の乾き方を確認してください。

「保湿すればするほど広がらない」は正しい?

必ずしも正しくありません。

髪がパサついて見えると、「水分が足りないから、とにかく保湿すればいい」と考えやすくなります。

しかし髪のパサつきは単純に水分や油分が少ない状態ではなく、毛流れが揃わずバラバラになっている状態でも強く感じるとされています。

さらに、乾いた髪へ水分を与えると水素結合が切れ、元のくせが出るなどして毛流れが乱れる場合があります。

つまり、梅雨対策では、

を分けて考える必要があります。

しっとり系トリートメントを大量につけても、毛流れが乱れていれば広がって見えることがあります。

逆に、細い髪へ油分を増やしすぎると、広がりは減ってもトップがぺたんとすることがあります。

「広がらない=成功」ではありません。

自分が欲しいシルエットを保てるかが重要です。

梅雨は髪を「できるだけ乾燥させる」のが正解?

これも極端にすると逆効果です。

毛髪内の水分量は外気の湿度に左右されるため、髪を乾かしすぎると、乾燥後に湿気を吸収してスタイルが崩れやすくなることがあるとされています。

つまり、梅雨対策は「水分ゼロに近づける」ことではありません。

目標は、

ことです。

特にやりがちな失敗が、表面と毛先だけ熱くなるまで乾かし、内側や根元が少し湿っている状態です。

外から触ると乾いて見えても、耳上、後頭部、襟足、根元に冷たい部分が残っていれば、外出後に形が変わりやすくなります。

梅雨の朝にやる乾かし方、基本は、普段の乾かし方と同じく根元からです。STEP1 前髪と根元を先に乾かす

前髪、分け目、頭頂部、後頭部、耳上へ順番に風を入れます。

指を根元へ入れて、髪が細かい束にならず、さらさら動く状態まで乾かします。

STEP2 内側を確認する

多毛の人は、表面が乾いても内側が残りやすいです。

髪を持ち上げ、後頭部や耳上に冷たい部分がないか確認します。

STEP3 中間から毛先の毛流れを揃える

髪を強く引っ張る必要はありません。

手ぐしやブラシで方向を揃え、根元から毛先へ風を流します。

STEP4 全体の乾きムラを確認する

触って冷たい場所、しっとりした束、根元が動きにくい場所がないか見ます。

STEP5 最後に冷ます

髪全体が乾き、毛流れが整ったら、冷風や自然な空気で髪の温度を室温程度まで下げます。

温まった髪は形が変わりやすいため、整えた状態で冷ますことがスタイル保持に役立つとされています。

朝にアイロンを使う場合も「完全に乾いてから」

梅雨になると、うねりを消すために毎朝アイロンを使う人が増えます。

しかし、髪がまだ湿っている状態で高温のアイロンを重ねるのは避けます。

まずドライヤーで全体を乾かし、毛流れを整え、その後に必要な部分だけアイロンを使います。

アイロン後も、すぐに髪を耳へかけたり、結んだり、帽子をかぶったりすると形が変わる場合があります。

整えた後は少し冷ましてから次の工程へ進みます。

また、梅雨だからといって同じ場所へ何度も高温を当てると、湿気対策より熱負担のほうが大きくなります。

一度で完璧な直線をつくることより、乾かし方とスタイリング剤を含めて全体で崩れにくくするほうが合理的です。

アウトバストリートメントやオイルはどう使う?

湿気対策では、洗い流さないトリートメント、オイル、ミルク、ミストなどを使う方法があります。

役割として期待されるのは、

ことです。

湿気対策の考え方として、水となじみにくい成分で毛髪表面を均一に覆うことで、外部の水分が入りにくい状態をつくる方法を紹介しています。

ただし、ここから「オイルなら何でも湿気を完全に防ぐ」とは言えません。

製品ごとに処方が違い、つける量も重要です。

太い髪、多毛、乾燥・ダメージが強い髪では、オイルやミルクを中間〜毛先へ少量なじませる方法が使いやすい場合があります。

細い髪、根元がつぶれやすい髪では、重いオイルを多く使うとボリュームがなくなることがあります。

前髪も同様です。

前髪へオイルを直接大量につけると、湿気以前に束になりすぎたり、額の皮脂と合わさって重く見えたりします。

最初は手に残った少量を毛先へ触れる程度から調整してください。

髪質別:梅雨に見るべきポイント

細い髪・ねこっ毛

広がりより、根元のぺたんこを優先して見ます。

が基本です。

太い髪・毛量が多い髪

内側の乾かし残しとシルエットの膨張が問題になりやすいです。

と調整します。

くせ毛・うねり毛

水分分布の不均一さにより、湿度変化で形が戻りやすい可能性があります。

という考え方が重要です。

ブリーチ・ダメージ毛

水分の出入りが大きくなりやすいため、毛先の急な広がりや浮き毛を確認します。

ようにします。前髪が崩れやすい人、前髪だけ別パーツとして考えます。

という順番が分かりやすいです。

外出先で広がったときの直し方

湿気で一度形が崩れた髪へ、オイルだけを何度も重ねると、重くなるだけで元の形が戻らないことがあります。

髪の形を整え直すには、水分をコントロールして再び形をつくり直すほうが合理的です。

前髪や顔まわりなら、

  1. 乱れた部分を少量の水やウォータータイプのスタイリング剤で均一に湿らせる

  2. 根元から形を整える

  3. 可能ならドライヤーで乾かす

  4. 冷ましてから少量の仕上げ剤を使う

という順番です。

「湿気が原因なのに、また水をつけるの?」と思うかもしれません。

しかし、すでに不均一な状態で水分を吸って形が崩れているなら、部分的にオイルを足すより、一度均一にリセットして乾かし直したほうが形をつくりやすい場合があります。同じ悩みを別の条件から確かめるなら、夏の紫外線は髪にも影響するもあわせて確認できます。

ドライヤーがない外出先では、無理に完全修正しようとせず、結ぶ、耳にかける、前髪を分けるなど、湿度変化が目立ちにくい形へ変えるのも現実的です。

梅雨にやりがちな失敗

失敗1 朝、表面だけ乾かして出る

内側や根元が湿っていると、移動中にさらに形が変わりやすくなります。

失敗2 広がるたびにオイルを追加する

昼、夕方と追加すると、毛先は落ち着いても前髪やトップが重くなることがあります。

失敗3 乾かしすぎれば湿気を吸わないと思う

毛髪内の水分は外気の湿度に応じて変化します。過度に乾かしても、その後に湿気を吸えば形は変わります。

失敗4 前髪にも全体と同じ量をつける

前髪は毛量が少なく、額の汗や皮脂の影響も受けるため、全体と同じ量では重くなりやすいです。

失敗5 くせ毛を「水分不足」とだけ考える

くせ毛では水分分布の不均一さも関係しています。単純に保湿量だけ増やしても解決しない場合があります。

失敗6 梅雨だけ毎日アイロン温度を上げる

温度を上げても外気の湿度そのものは変えられません。高温を繰り返すより、乾かし方、毛流れ、仕上げ剤、髪型まで含めて考えます。

梅雨に強い髪型を考えるという方法もある

毎年梅雨になると同じ部分だけ広がるなら、ヘアケアだけでなく髪型そのものが湿度変化を強調している可能性があります。

具体例は次のとおりです。

といったケースです。

この場合、毎朝スタイリング剤を増やすより、

を見直したほうが、梅雨の手間が減る場合があります。

編集部の:5日で「広がりの原因」を切り分ける

梅雨は日によって湿度が違うため、1日だけで製品の良し悪しを決めると判断しにくくなります。

5日間、次の5項目だけ記録してください。

1日目 普段どおり、何も変えず、どこから崩れるか確認します。2日目 根元と内側だけ丁寧に乾かす、スタイリング剤は変えず、乾かし方だけ変えます。3日目 アウトバス量を減らす

トップがぺたんとする人は量を少し減らし、変化を見ます。

4日目 中間〜毛先だけ仕上げ剤を調整する、広がる人は根元へつけず、中間〜毛先で調整します。5日目 前髪を別管理する

前髪の根元乾燥と仕上げ量を全体から分けて確認します。

この5日で、「湿度が高い日だけ毛先が広がる」「毎日トップが重いので製品量が多い」「後頭部だけ崩れるので乾かし残し」「前髪だけ崩れるので汗・根元の影響が大きい」といった違いが見えやすくなります。

自分の条件を一つずつ変えて原因を切り分けるためのセルフチェックです。

まとめ:梅雨の広がりは「水分量」だけでなく「水分の入り方」と「形の固定」が重要

梅雨に髪が広がるのは、湿度が高くなることで毛髪内の水分量が増え、朝につくった形を支える水素結合が不安定になるためです。

さらに、くせ毛では毛髪内部の水分分布が均一でないことがあり、湿度変化によって部分ごとに膨らみ方が変わることで、うねりや広がりが目立ちやすくなります。

ダメージ毛も、健康な髪より水分が出入りしやすいことが知られています。

一方、細く柔らかい髪では、広がるより根元がつぶれてぺたんとすることもあります。

だから、梅雨対策を、「保湿する」「オイルをつける」「高温でまっすぐにする」だけで終わらせないことが重要です。見るべきなのは、

です。

梅雨に毎朝苦戦する人ほど、「もっと強いスタイリング剤」を探す前に、どの部位が、どの条件で崩れているかを分けて観察してください。

原因が違えば、必要な対策も違います。

梅雨に髪が広がる理由:原因と確認の流れ

よくある質問

Q. 梅雨に髪が広がるのは水分不足だから?

水分不足だけが原因ではありません。湿度が高いと毛髪内の水分量が変わり、くせ毛では水分分布の不均一さも関係します。単純に保湿量だけ増やしても、広がりが改善しない場合があります。

Q. オイルを多くつければ湿気を防げますか?

製品によっては毛髪表面をコートし、水分の出入りを抑えやすくする設計がありますが、量を増やせば増やすほど良いわけではありません。細い髪や前髪では重さやべたつきが目立つことがあります。

Q. 梅雨は髪を完全にカラカラまで乾かしたほうがいい?

乾かし残しは避けるべきですが、過度な乾燥が正解ではありません。髪を乾かしすぎると、その後に湿気を吸収してスタイルが崩れやすくなることがあるとされています。根元から毛先まで均一に乾かし、毛流れを整え、最後に冷ますことが重要です。

Q. 直毛でも梅雨に広がりますか?

広がることはあります。直毛でもダメージ、毛量、乾かし残し、カット、スタイリング剤によってシルエットは変わります。ただし、くせ毛では毛髪内部の水分分布が不均一であることが報告されており、湿度変化でうねりが出やすい要因の一つになります。

Q. 細い髪は梅雨でもオイルを使ったほうがいい?

必要なら使えますが、少量から試してください。細い髪は湿気で広がるより、根元がつぶれることもあります。根元や前髪へ重い油分を多くつけず、中間〜毛先から調整するほうが失敗しにくいです。

Q. 湿気で前髪だけうねったらどう直す?

可能なら乱れた部分を少量の水やウォータータイプのスタイリング剤で均一に湿らせ、根元から形を整えて乾かし直します。ドライヤーがない場合は、無理にオイルを重ねず、分ける、耳にかけるなど崩れが目立ちにくい形へ変更するのも方法です。

梅雨になると毎年同じ部分が崩れるなら、髪型との相性も確認

ヘアオイルや湿気対策アイテムを変えても、毎年同じ場所が広がる、前髪だけ決まらない、乾かす時間が長い、トップがつぶれる場合は、ヘアケアだけでなく現在の長さ、毛量、レイヤー、前髪設計が髪質や生活条件に合っていない可能性があります。

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